調査PRの成功事例13選|成果につながる調査リリースの設計とポイントを解説

消費者が情報を集める手段や購買までの行動が多様化した今、単にネット上で発信するだけでは、ターゲットに情報が届きにくくなっています。そこで多くの企業が取り組んでいるのが、独自データをもとに情報発信できる「調査PR」です。

一方で、調査設計やリリース内容の作り方が分からず、自社に合う進め方がイメージできない担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、実際の成功事例をもとに、成果につながる調査PRの設計やポイントを解説します。

調査PRで成果を出すには事例から逆算することが重要

調査PRで成果を出す企業は、最初から「調査内容」ではなく「掲載される状態」から逆算して設計しています。新商品の発表だけではニュースになりにくい場面でも、客観的なデータがあれば記事として扱われやすくなります。メディア露出の獲得を目的に調査PRへ取り組む企業が増えてきている一方で、思いつきでテーマを決めて調査を実施しても、狙った成果にはつながりません。

実際、成果が出ている事例には、信頼性や共感性、トレンドとの一致といった共通点があります。大規模な予算がなくても、企画の段階から取り入れやすい要素です。ここを外すと、調査自体は実施していても拡散されず終わるケースが多くなります。どの段階で判断を誤ると成果につながらないのか、その具体的な分岐点を押さえることが重要です。

調査PRは自社に新商品やイベントがない時期でも情報発信ができる手法といえます。広報の担当者にとって、ネタ切れを防げる点は大きなメリットになります。

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事例1|スマホを持てない人の就労実態調査|株式会社アーラリンク

1つ目の事例は、スマートフォンを持てない状態と就労の関係に着目した、株式会社アーラリンクの調査PRです。一定期間スマホを持てなかった人を対象に実施されており、通信環境と働き方の関係を扱っています。

調査を実施した企業

本調査を実施したのは、携帯電話の契約が難しい人に向けた通信サービスを提供する株式会社アーラリンクです。一般的な携帯電話の契約では、支払い能力の確認が前提になります。そのため、事情を抱えた人がスマホを持てない状況が生まれてきました。

同社は携帯キャリアの審査に通らない人でも契約できる「誰でもスマホ」を提供しており、これまでに累計11万人以上の支援実績があります。

「通信手段を失った人が社会復帰できない現状に対し、実際の支援現場で得た課題意識」をもとに調査が企画され、自社の事業領域が社会課題と直結している点が、調査PRを設計するうえでの強みになりました。

調査テーマと調査設計

調査は「一定期間スマートフォンを持てなかった経験がある男女」を対象に実施されています。有効回答数は604名で、調査期間は2026年2月25日から3月4日です。スマホを失ったきっかけや就職活動への影響など、就労との関係を軸に設問が設計されています。

ここで重要なのは、テーマが自社の商品説明ではなく、社会の課題に向けられている点です。設問は、スマホがないことで就職活動や勤務にどのような支障が出るのかを掘り下げる構成になっています。当事者へ直接届く回答経路を持っている点が、この調査の独自性につながっています。

設問を場面ごとに分解する手法は、調査結果を記事化しやすくします。抽象的な質問だけでは、当たり障りのないデータしか集まりません。一方、生活や仕事の具体的な場面に踏み込むと、読み手が状況を想像できる数字が得られます。

リリース結果と話題化のポイント

このリリースは、通信と就労という社会課題を扱うテーマとして配信され、プレスリリース媒体を起点に複数メディアへ転載される形で拡散されています。特に「スマホがないと就職できない」という強いメッセージと、408名が採用に至らなかったという具体的な数値がフックとなり、ニュース性のある情報として扱われやすい内容になっています。

スマホを持てない状況は、多くの人にとって想像しにくい世界です。そこにデータが加わると、社会課題として認識されやすくなります。

話題化した要因は、データの構造化にあります。収入源→通信喪失→就労困難という流れで整理されており、単発の事象ではなく社会課題として理解できる構成です。さらに当事者の声を組み合わせることで共感性が生まれ、SNSやメディアで二次的に取り上げやすい情報設計になっています。

自社サービスへの導線設計

リリースの後半では、「通信手段を取り戻すことで収入や働き方が安定した」と回答した人が455名いる点が提示されています。この変化を示すことで、課題の提示だけで終わらず、解決策まで自然につなげています。

導線設計では、調査結果と自社サービスの必然的なつながりが鍵になります。スマホを持てなかった回答者が就職活動で支障を経験したという調査結果は、審査に頼らない通信サービスの必要性を裏づけるものです。

ポイントは、サービスの説明を前面に出すのではなく、データの延長戦上に位置づけていることです。前半でデータを示し、後半で解決の方向性を語る構成であれば、記事化されたときに調査データだけが引用されても企業名は残ります。押し売り感を出さずに納得感を持たせる導線設計になっている点が、この事例の大きな強みです。

▼詳しくはこちら
「大人なのに電話も止まってるの?」コロナ禍の収入減でスマホを失った400名超のリアルな就活実態・株式会社アーラリンク|PR TIMES 

事例2|AIを活用した消費行動に関する調査|アライドアーキテクツ株式会社

2つ目の事例は、生成AIが購買行動にどのような影響を与えているのかに着目した、アライドアーキテクツ株式会社の調査PRです。SNS上の投稿データをもとに、AIを活用した買い物行動の実態や変化を分析しています。

調査を実施した企業

本調査を実施したのは、SNSマーケティングやUGC活用の支援を手がけるアライドアーキテクツ株式会社です。SNSや顧客データを活用したマーケティング支援を展開しており、これまでに6,000社以上の支援実績があります。

同社は自社メディアや情報発信にも積極的に取り組んでいます。マーケティング支援を事業とする以上、市場の変化を語る立場が求められるのです。

支援会社にとって、調査PRは専門性を示す有効な手法になります。顧客の声(VOC)データをもとにマーケティング設計を行ってきた知見を背景に、「AIが購買行動にどのような変化をもたらしているのか」という課題意識から本調査が企画されています。

調査テーマと調査設計

調査は、X(旧Twitter)上における生成AI活用に関する投稿データを対象に実施されています。2024年3月〜2025年2月と2025年3月〜2026年2月の2期間を比較し、合計3,000件以上の投稿データを分析対象としています。

生成AIの普及によって、情報収集や商品選びの過程が変わり始めました。この変化は多くの企業が関心を寄せる領域です。しかし、実態を示すデータはまだ十分に出そろっていません。データが不足している領域を狙う判断が、この企画の巧みな点でした。

さらに、CEPs(購買のきっかけ)という軸で「どの場面でAIが使われているか」を整理することで、単なる利用実態ではなく購買行動の変化として可視化されています。設問を行動の流れに沿って並べる手法は、調査結果の解釈をしやすくする工夫です。

リリース結果と話題化のポイント

このリリースでは、SNS上での買い物相談投稿が前年比6.4倍に増加した点が大きなトピックとして提示されています。特に高額商品の購入や専門商品の選定といった意思決定の場面で、AIに条件を伝えて候補を絞り込む、複数の商品を比較させるといった使い方がされている実態が示されています。

話題化した要因は、「AIが何に使われているか」を具体的に示していることです。パソコンや車、ジュエリーなどの購入時に、スペック比較や選択肢の整理をAIに任せる利用シーンが提示されており、読者が自分の購買行動に置き換えやすい内容になっています。

AIに関する話題は、メディアを問わず記事の本数が増えている領域といえます。そこに生活者の実態データが加われば、記事の材料として採用されやすくなるのでしょう。抽象的な活用ではなく、実際の行動レベルまで落とし込んでいる点が拡散につながっています。

自社サービスへの導線設計

リリース内では、SNS上の投稿データを分析する基盤として自社のデータプラットフォーム「Kaname.ax®」が活用されています。AIによって生活者の声を構造的に分析できる点が示されており、調査結果とサービスの機能が直接結びついています。

ポイントは、調査結果そのものがサービス価値の証明になっていることです。AI消費の変化を可視化できた背景として自社技術が位置づけられており、無理に売り込まずとも「同様の分析ができる」という訴求につながる設計になっています。

調査データを詳しくまとめた資料を用意すれば、興味を持った担当者の情報を獲得できます。商談化率の向上まで見据えた設計が、BtoBの調査PRでは欠かせません。

▼詳しくはこちら
【AI消費トレンド2026】買い物相談が前年比6.4倍|アライドアーキテクツ株式会社

事例3|中小企業のWi-Fi環境に関する実態調査|株式会社バッファロー

3つ目の事例は、中小企業におけるWi-Fi環境の実態と課題に着目した、株式会社バッファローの調査PRです。従業員数50名未満の企業を対象に、通信環境の現状や課題、機器選定の実態について調査しています。

調査を実施した企業

本調査を実施したのは、IT周辺機器の開発・販売を行う株式会社バッファローです。個人向けの製品で高い認知度を持つ一方、法人向け事業にも力を入れています。法人向けにはネットワーク機器を通じて企業のDX支援を行っており、Wi-Fi環境の整備も主要な領域の一つです。

メーカーが調査PRを実施する意義は、製品の宣伝から一歩引いた発信ができる点にあります。カタログや製品資料は、すでに検討段階に入った企業しか読みません。しかし、業界の実態を示す調査データであれば、課題に気づいていない層にも届きます。

現場では「通信が遅い」「クラウドが使いづらい」といった課題が多く、実態として家庭用機器が業務で使われているケースが多い点に着目し、調査が企画されています。

調査テーマと調査設計

調査は、従業員数50名未満の企業の経営者・役員106名を対象にインターネットで実施されています。調査期間は2023年3月3日で、Wi-Fi機器の種類や利用理由、通信速度に関する課題などを多角的に取得しています。自社製品が解決できる領域を、企業の課題という言葉に置き換えた設計です。

ポイントは、「現状」と「課題」を分けて取得していることです。家庭用Wi-Fiの利用実態だけでなく、通信速度の遅さによる業務影響や、機器変更のハードルまで一連で設計されています。これにより、単なる実態調査ではなく課題の構造まで可視化されています。

多くの中小企業では、通信環境の問題を仕方ないものとして受け入れがちです。しかし、同じ悩みを抱える企業の割合がデータで示されると、改善すべき課題として認識されます。

リリース結果と話題化のポイント

このリリースでは、中小企業の68.9%が家庭用Wi-Fiルーターを使用し、3.8%は家庭用と業務用を併用している実態が提示されています。さらに、約半数が通信速度の遅さを感じており、資料送信に時間がかかるなど業務への影響も明らかになっています。

また、約7割が通信速度の遅さは生産性低下につながると認識している一方で、業務用Wi-Fiが有効な対策であると知っているのは35.6%にとどまっています。この「認識と対策のギャップ」が明確に示されていることが特徴です。

話題化した要因は、現場の課題を数値で可視化していることにあります。通信の遅さによる具体的な業務影響まで踏み込んでいるため、企業担当者が自社の状況と照らし合わせやすく、実務課題として捉えやすい内容になっています。

自社サービスへの導線設計

リリース後半では、業務用Wi-Fi機器への切り替えが課題解決につながる選択肢として提示されています。家庭用機器では対応しきれない同時接続や安定性の問題に対し、業務用の必要性がデータから導かれる構成になっています。

ポイントは、課題提示から自然に製品紹介へつなげていることです。課題の提示、原因の解説、対策の方向性という順序であれば、製品の説明が唐突に感じられません。「業務用は高い」「設定が難しい」といった障壁に対し、手頃な価格と簡単な設定を特徴とする自社製品を提示することで、導入のハードルを下げる設計になっています。

法人向け製品の場合、比較検討の期間が長くなります。そのため、調査資料を営業資料へ転用する設計が効果的です。商談の場で業界データを示せば、担当者は社内の稟議で説明しやすくなります。

▼詳しくはこちら
中小企業の72.7%が「家庭用Wi-Fiルーター」を業務利用していることが明らかに【中小企業の通信環境を調査】|株式会社バッファロー

事例4|外国籍社員とのコミュニケーション実態と課題調査|ビズメイツ株式会社

4つ目の事例は、外国籍社員とのコミュニケーション課題に着目した、ビズメイツ株式会社の調査PRです。外国籍社員と働く会社員を対象に、職場でのコミュニケーション実態や課題を明らかにしています。

調査を実施した企業

本調査を実施したのは、ビジネス特化型オンライン英会話サービスを展開するビズメイツ株式会社です。外国籍人材とのコミュニケーション支援や英語教育を軸に事業を展開しており、企業のグローバル化に伴う課題に向き合ってきた実績があります。法人向けの語学研修も手がけており、企業の人材育成を支援しています。

外国籍社員との意思疎通に課題を感じる企業が増えている背景を踏まえ、「実際にどのような場面で課題が発生しているのか」を明らかにする目的で調査が企画されています。

同社にとって、この課題は自社サービスが直接関わる領域です。事業と課題が一致している企業は、調査PRの企画を立てやすい立場にあります。自社が語る必然性のあるテーマを選べるからです。反対に、事業と無関係なテーマを選ぶと、話題化しても成果につながりません。

調査テーマと調査設計

調査は、外国籍社員と働く会社員を対象に実施されています。職場におけるコミュニケーションの課題や困難を感じる場面、意思疎通のズレなどを中心に設問が設計されています。当事者と接している立場の回答を集めると、現場の実感が数字で見えてきます。

設計のポイントは、「課題の有無」だけでなく「どの場面で発生しているか」まで細かく取得したことです。業務指示や会議、日常会話といった具体的なシーンごとに整理することで、抽象論ではなく実務レベルの課題として捉えられるデータになっています。

認識のギャップを可視化する手法は、記事化されやすいデータを生みます。片側の意見だけでは、単なる不満の集計に終わりがちです。一方、立場ごとの回答を比較すると、課題の構造が浮かび上がります。

リリース結果と話題化のポイント

このリリースでは、外国籍社員とのコミュニケーションにおいて、具体的にどの場面で課題が発生しているのかが明確に示されています。意思疎通のズレやニュアンスの違いといった抽象的な問題を、業務指示や会議といった実務シーンに落とし込んでいる点が特徴です。

労働力人口の変化は、多くの企業に共通する課題です。そこに職場の実態データが加わると、経営層や人事部門にとって無視できない情報になります。

評価されるポイントは、「課題の解像度の高さ」です。単に「英語が課題」とするのではなく、「どの業務で支障が出るのか」まで分解しているため、企業担当者が自社の状況に置き換えて判断しやすい内容になっています。結果として、一般論ではなく“自分ごと化できるデータ”として扱われやすく、実務課題として認識されやすい構成になっています。

自社サービスへの導線設計

リリースでは、外国籍社員とのコミュニケーション課題を示したうえで、ビジネス英語の必要性につなげています。ポイントは、調査設計の段階で「日常会話」ではなく「業務シーン」に絞っていることです。言語の壁が業務の支障になるというデータは、教育投資の必要性を裏づけるものです。

たとえば、会議での発言や業務指示の伝達といった場面に限定して課題を取得することで、「英語が苦手」ではなく「業務で伝わらない」という問題に変換しています。この時点で、解決策は自然と“ビジネス英語”に限定されます。

その結果、調査結果とサービスの間にズレが生まれません。一般的な英会話ではなく、ビジネス特化型サービスでなければ解決できない構造が成立している点が、この導線設計の核です。

▼詳しくはこちら
【外国籍社員のコミュニケーションに関する実態調査】 一緒に働く会社員の6割以上が、外国籍社員の「孤独感」を懸念、その要因とは?・ビズメイツ株式会社|PR TIMES

事例5|理想の上司ランキングから見る働き方意識調査|株式会社ビズヒッツ

5つ目の事例は、理想の上司に関するランキングを通じて、働き方や価値観の傾向を可視化した株式会社ビズヒッツの調査PRです。社会人を対象に、上司に求める要素や人物像をランキング形式で整理し、共感を生みやすい形で発信されています。

調査を実施した企業

この調査を実施したのは、転職や働き方に関する情報メディアを運営する株式会社ビズヒッツです。求職者向けにキャリアや職場環境に関する情報発信を行っており、働き方や企業選びに関するデータを継続的に発信しています。

求職者が企業や上司に何を求めているのかを可視化することで、キャリア選択に役立つ情報提供を目的に調査が企画されています。

調査テーマと調査設計

調査は、社会人を対象に「理想の上司像」についてアンケート形式で実施されています。上司に求める特徴や印象に残る人物を自由回答で取得し、それらを集計してランキング形式で整理しています。上司や職場の人間関係は、多くの人が関心を持つ普遍的な題材といえます。

ポイントは、「最初からランキングとして見せる前提で設計されている点」です。ランキング形式の調査結果は、記事の見出しをつくりやすくします。順位という形で示すと、読み手は一目で内容を理解できるからです。

さらに、自由記述のコメントを添えると、数字だけでは伝わらない背景が補えるでしょう。人物名が並ぶことで興味を引きやすく、結果を見るだけで内容が理解できる構造です。

リリース結果と話題化のポイント

このリリースでは、理想の上司として挙げられた人物がランキング形式で提示されています。具体的な人物名と理由がセットで紹介されており、結果そのものが読み物として成立している点が特徴です。

話題化した要因は、共感性の高さにあります。働き方をテーマにした調査は、ビジネスパーソン向けのメディアと相性の良い領域になります。読者が「自分もそう思う」「この人は納得」と感じやすいテーマであるため、SNSなどで意見が広がりやすい構成です。

さらにランキング形式にすることで、結果を一目で理解でき、拡散されやすいコンテンツになっています。読み手が語りたくなるテーマは、SNSでの拡散も期待できます。

自社サービスへの導線設計

このリリースでは、理想の上司ランキングという共感しやすいテーマで読者を引きつけています。上司に求める人物像や職場への期待が見えるため、読み手は自然と「自分に合う会社はどこか」「働きやすい職場とは何か」に関心が移る流れです。

導線設計のポイントは、転職そのものを直接売り込まず、まず「働く環境選び」という関心を高めていることにあります。理想の上司という入口から、職場選びや企業選びの情報ニーズへつなげることで、キャリア・転職情報を扱う自社メディアと無理なく接続できる構成です。

▼詳しくはこちら
【ついていきたいと思う上司の特徴ランキング】男女293人アンケート調査・株式会社ビズヒッツ|PR TIMES

成功事例に共通する調査PRのポイント

業界も企業規模も異なる一方で、成果につながった調査PRには共通する構造があります。テーマの選び方と配信するタイミングに加えて、結果の見せ方や導線の設計という4点を押さえれば、初めて調査を実施する企業でも大きな失敗は避けられるでしょう。

自社と近い状況の事例を見つけたら、プレスリリースの企画書に転記しておくことをおすすめします。共通点を整理する作業そのものが、企画力の向上につながります。

ターゲットの不安や課題を起点に設計する

成果につながった調査PRの多くは、読み手の課題から出発しています。企業が伝えたい情報を起点にすると、宣伝色の強いリリースになりがちです。一方、ターゲットが抱える不安や困りごとを起点にすれば、読み手にとって価値のある情報になります。求められるのは、読者にとって有益なデータです。

課題を起点にする際は、対象者を具体的に定める必要があります。「働く人」ではなく「新卒採用を担当する人事部門」といった粒度が求められます。対象が絞られるほど、設問の解像度は高まるのです。結果として、当事者の心に届く調査結果が得られます。

対象者の像が曖昧なままでは、設問も抽象的になりがちです。誰の何を明らかにしたいのかを企画書の冒頭に書き出しましょう。以下では、課題起点で設計された3つの事例を解説します。

事例⑥:株式会社マイナビ「大学生就職意識調査」

株式会社マイナビが毎年実施している「大学生就職意識調査」は、学生の就職観や企業選びの基準を明らかにする調査です。採用環境が厳しさを増すなか、学生が企業に何を求め、どのような会社を避けるのかを把握したい新卒採用担当者にとって、採用方針や訴求内容を考える材料になります。

例えば、2027年卒の調査では、企業選択のポイントとして「安定している」を挙げた学生が55.4%となり、2年連続で5割を超えました。「給料が良い」も5年連続で増加しており、学生が企業に求める条件の変化を時系列で確認できます。

この事例のポイントは、単発の話題を調べるのではなく、同一または類似する項目を継続的に調査していることです。過去との比較によって価値観の変化を示せるため、単年の結果だけでは得られないニュース性や資料価値が生まれます。自社でも、顧客や業界の変化を追えるテーマを選び、定点調査として年間のPR計画に組み込む方法が考えられるでしょう。

事例⑦:株式会社リクルート「美容センサス 美容室編」

株式会社リクルートのホットペッパービューティーアカデミーが公表する「美容センサス 美容室編」は、美容室の利用実態や市場動向をまとめた調査です。主なターゲットは、市場全体の変化を自店のデータだけでは把握しにくい美容室の経営者やマネージャーです。

調査では、女性・男性それぞれの利用率や1回あたりの利用金額、年間利用回数、予約方法に加えて、サロン利用にかかった時間と理想の所要時間などを整理しています。顧客の利用行動を時系列で示すことで、予約導線や料金、メニュー、施術時間などを見直す際の判断材料を提供しています。

この事例のポイントは、業界の当事者が自社だけでは取得しにくい市場全体の比較データを提供している点です。調査PRを企画する際は、単に業界の実態を調べるのではなく、ターゲットがどのような判断に困っているかを明確にし、その意思決定に使える調査項目を設計することが重要です。継続的にデータを公開すれば、業界内で参照される資料としての価値も高めやすくなります。

事例⑧:株式会社Engineerforce「BtoB UI/UX白書2025」

株式会社Engineerforceが公開した「BtoB UI/UX白書」は、UI/UX投資の必要性を感じているものの、費用対効果の説明や社内の合意形成に課題を抱えるBtoB企業の経営層・部門責任者を主なターゲットにした資料です。

調査では、84.3%の企業がUI/UXを重要視している一方、3,000万円以上を投資している企業は35.6%にとどまり、重要性の認識が実行に結び付いていない実態を可視化しています。また、UI/UX改善の効果として、業務効率化や成約率向上、離脱率の低下などを数値で示し、UI/UXを単なる見た目の改善ではなく、事業成果につながる経営投資として捉えてもらう構成です。経営層だけでなく、DX推進担当者やプロダクトマネージャーなど、実務を担うメンバーにも活用される内容になっています。

この事例のポイントは、ターゲットが投資を決断できない原因を調査によって可視化し、その不安に答えるデータと解決策を一つの白書にまとめている点です。さらに、白書は会社名や役職などを入力してダウンロードする形式になっており、調査結果の提供をリード獲得につなげています。

時事性や季節性と掛け合わせる

調査PRの成否は、配信するタイミングにも左右されます。同じ調査結果でも、世の中の関心が高まる時期に出せば注目度は変わるのです。

年中行事や季節のイベントは、あらかじめ日程が分かっています。そのため、逆算して調査を実施する計画を立てられるのです。イベントの日程から逆算する進め方が前提になります。

時事性を狙う場合は、リリースの配信から記事化までの時間を考慮しましょう。イベントの当日に配信しても、媒体側は準備が間に合いません。一般的には、話題になる時期の2週間から1か月前が目安です。

季節のイベントは調査テーマの宝庫です。ただし、同じ時期には多くの企業がリリースを配信します。埋もれないためには、自社ならではの視点が欠かせません。以下の3つの事例は、時期の選定と切り口の工夫が両立した例になります。それぞれの企画の狙いを解説します。

事例⑨:株式会社サンク「父の日は母の日より"奮発"する月」

株式会社サンクは、自社が運営する楽天市場店舗「ごちそう本舗」の購買行動データを分析し、父の日需要が高まる6月と母の日需要が高まる5月の購入傾向を比較しました。

分析の結果、6月の平均ギフト単価は10,426円となり、5月の8,041円を29.7%上回りました。父の日と母の日を同じ指標で比較することで、「父の日は母の日よりもギフトにお金をかける」という、意外性のある結果を一文で伝わるように打ち出しています。

この事例のポイントは、季節性のあるテーマに比較の軸を加えたことです。単独の数値だけでは特徴が伝わりにくくても、関連する2つのイベントを同じ条件で比較すれば、差や傾向を明確にできます。読者の予想と異なる結果が出た場合は、数字を使った見出しも作りやすくなります。

▼詳しくはこちら
父の日は母の日より"奮発"する月──平均ギフト単価¥10,426で年間最高額、楽天市場117,033人データを分析|PRTIMES

事例⑩:株式会社さくら事務所「【2025年統計】新築一戸建て不具合指摘率、前年比5.6㌽増の82.0%!」

住宅診断サービスを提供する株式会社さくら事務所は、2025年にホームインスペクションを実施した新築一戸建て1,370件の検査データを集計・分析しました。その結果、何らかの不具合が指摘された住宅は82.0%に上り、2024年の76.4%から5.6ポイント上昇しています。

この事例の特徴は、新築一戸建ての引き渡しが増える3月に、購入者の関心が高まる住宅の不具合データを公表した点です。季節性のあるタイミングと調査テーマを結び付けることで、引き渡し前の確認やホームインスペクションの必要性を認識してもらう構成になっています。調査結果の後には、同社の新築一戸建てホームインスペクションのサービスページへの導線も設置されています。

また、自社が実施した住宅診断の記録を活用している点も参考になります。アンケートが人の意識や意向を把握するのに適している一方、検査や購買、利用履歴などの業務データは、実際に起きた事象を示せることが強みです。

▼詳しくはこちら
【2025年統計】新築一戸建て不具合指摘率、前年比5.6㌽増の82.0%!|PRTIMES

事例⑪:株式会社インテージ「クリスマス“予定なし”54%」

マーケティングリサーチを手がける株式会社インテージは、全国の15~79歳の男女5,000人を対象に、クリスマスの予定や予算、過ごし方に関する調査を実施しました。調査では、「予定はない」と回答した人が54.1%となり、前年から3ポイント増加しました。クリスマスの平均予算は16,418円、市場規模は前年比94.2%の7,274億円と試算されており、「予定なし」の増加を軸にイベント消費の縮小を伝えています。

一方、「ケーキを食べる」と回答した人は40.6%で前年とほぼ変わらず、イベント全体が縮小するなかでも維持されている需要を示しました。

この事例の特徴は、華やかな過ごし方だけでなく、イベントに参加しない人や支出を控える人も含めて市場全体の変化を捉えた点です。さらに、予定がない理由や前年との違いまで分析することで、単に意外な数字を示すだけでなく、その背景にある節約志向や生活者意識の変化を明らかにしています。

▼詳しくはこちら
クリスマス“予定なし”54% 前年から3ポイント増|PRTIMES

一目で伝わる切り口と結果設計を行う

記者は毎日大量のプレスリリースを受け取ります。そのため、内容を熟読してもらえる前提で作成すると失敗するのです。求められるのは、見出しと冒頭だけで要点が伝わる構成といえます。調査結果のうち、最も伝えたい数字は1つに絞り込む形が基本です。

分かりやすさを高める手段としては、ランキング形式やグラフの活用が挙げられます。順位や図があると、記事に転載しやすくなるからです。媒体側の手間を減らす配慮は、採用率の向上につながります。

メディアの現場では、限られた時間で内容を判断される前提に立ちましょう。図やグラフを添えると、内容の理解にかかる時間は短くなります。読み手の負担を減らす工夫が、掲載の可能性を広げるでしょう。

以下の2つの事例は、伝わりやすさを重視した設計の代表例になります。見せ方の手法を、順に解説します。

事例⑫:株式会社ヴァリューズ「SNSユーザー数ランキング(全30サービス)!」

Web行動ログの分析を手がける株式会社ヴァリューズは、国内のSNSアプリ30サービスを対象に、2025年8月時点の推計MAUをランキング形式で公表しました。上位はLINEが7,080万人、YouTubeが6,540万人、Instagramが4,230万人となっており、主要サービスの利用規模を同じ指標で比較できる構成です。

この事例の特徴は、現在の順位を並べるだけでなく、過去2年間の変化を組み合わせた点です。Threadsはサービス開始から約2年間で1,230万人に達して222%増、BeReal.は113万人で937%増となり、新興SNSの成長を一目で伝えられる結果になっています。さらに、利用者の年代や利用頻度まで分析することで、ユーザー数だけでは分からない各サービスの特徴も示しました。

ランキング形式には、複数の対象を同じ指標で比較し、上位サービスや変化の大きい対象を分かりやすく伝えられる利点があります。定期的に同じ条件で集計すれば、順位の入れ替わりや急成長したサービスを、新たな切り口として取り上げることも可能です。ただし、対象範囲や集計方法を明示し、推計値と公式発表値を区別する必要があります。

▼詳しくはこちら
【調査リリース】2025年最新|SNSユーザー数ランキング(全30サービス)! 2年間で”1,000万人増”「Threads」、映えないSNS「BeReal.」躍進で勢力図は変化した?

事例⑬:パナソニック株式会社「いい夫婦の日に、贈りたい・贈られたい家電ランキング調査2025」

パナソニック株式会社は、11月22日の「いい夫婦の日」に合わせて、既婚男女を対象に贈りたい家電と贈られたい家電を調査しました。結果をランキング形式で示し、記念日への関心と家電のプレゼント需要を結び付けています。

既婚女性が夫から贈られたい家電の1位は「フェイスケア機器」だった一方、既婚男性が妻に贈りたい家電の1位は「マッサージ機」でした。また、既婚男性が妻から贈られたい家電の1位は「パソコン」でしたが、既婚女性が夫に贈りたい家電の1位も「マッサージ機」となっています。贈る側と贈られる側の回答を分けることで、希望する商品カテゴリーの違いを一目で比較できる構成です。

さらに、家電をプレゼントされる場合は「自分の欲しいものをもらう」と答えた人が全体の5割を超え、「パートナーが選んだものをもらう」は8.9%にとどまりました。ランキングだけでなく、プレゼントの選び方まで調査することで、「サプライズよりも事前に希望を確認したほうが喜ばれやすい」という実用的な示唆につなげています。

▼詳しくはこちら
【いい夫婦の日に、贈りたい・贈られたい家電ランキング調査2025】プレゼントは、サプライズより欲しいものを?!|PRTIMES

解釈から導線まで一貫して設計する

調査PRは結果を出して終わりではなく、その後の解釈と導線まで含めて設計する必要があります。課題提示から解決策までを同じ流れでつなぐことで、読み手の納得感が生まれます。途中で話が切れると違和感につながるため、最初の設計段階から一貫した構造にしておくことが重要です。

成功事例を自社に活かすための考え方

成功事例はそのまま真似しても再現できません。企業の規模や業界、保有するデータが異なるからです。重要なのは、表面的な手法ではなく「なぜその結果になったのか」を分解し、自社の状況に合わせて再設計することです。

ここでは、事例を実務に落とし込むための考え方を解説します。

事例の背景にある狙いと成功要因を分解して捉える

事例を見るときは、表面的な切り口ではなく構造に注目します。話題になった調査には、必ず理由があります。社会課題との接続や比較の軸、配信のタイミングなど要因は複数存在するのです。1つずつ分解して、何が効果的だったのかを見極めます。

たとえば「ランキング形式だから伸びた」ではなく、「なぜランキングにしたのか」「どの層に刺さる設計だったのか」まで掘り下げる必要があります。調査テーマ、設問、見せ方、タイミングのどこが成果に影響したのかを切り分けることで、自社でも使える判断軸として再利用できる状態になります。

自社のターゲットや市場に合わせて再設計する

自社のターゲットに合わせて設計を変えることが前提となり、BtoBなのかBtoCなのか、誰に届けたいのかによって刺さるテーマや切り口は大きく変わります。

同じ「ランキング」でも、一般消費者向けと企業担当者向けでは意味が異なります。ターゲットの関心や課題に合わせてテーマ・設問・見せ方を調整することが重要です。他社の調査テーマを自社に当てはめても、必然性がなければ読み手に伝わりません。まずは、自社のターゲットが抱える課題を洗い出しましょう。

再現できる要素と独自に設計すべき要素を整理する

事例の要素は、再現できるものと独自に考えるべきものに分かれます。ランキング形式や比較の軸といった手法は、多くの企業が再現可能です。一方、調査テーマそのものは自社独自に設計する必要があります。この線引きを最初に行う流れが基本です。

整理の際は、型と中身に分けて考える方法が分かりやすいといえます。型とは、見せ方や構成のフレームです。中身とは、調査テーマや設問の具体的な内容を指します。型は他社から学び、共通点と差別化ポイントを整理することで、再現性と独自性の両立が可能になります。

調査PRに関するよくある質問

調査PRは、やり方を理解しないまま進めると、ただ調査して終わる施策になりやすい領域です。特に「通常のPRと何が違うのか」「配信サービスは使うべきか」「支援会社はどう選ぶか」は迷いやすいポイントです。ここでは、実務で判断に迷いやすい点を絞って解説します。

調査PRとは?他のPR手法との違いは?

調査PRは、独自調査で得たデータをニュース性のある情報として発信するPR手法です。商品やサービスを直接売り込むのではなく、調査結果を起点に記事化や話題化を狙う点が通常のサービス紹介型リリースとの違いです。数字に背景や考察を加えることで、広告色を抑えながら信頼性と引用性を高めやすい手法といえます。

プレスリリースのうまい会社はある?

プレスリリースの作成や調査企画を得意とする会社は複数あります。ただし、文章だけが優れていても成果にはつながりませんし、調査設計だけが強くても拡散には結びつきません。重要なのは、企画と表現の両方を設計できるかどうかです。

自社にノウハウやリソースがある場合は内製でも対応可能です。一方で、テーマ設計やメディア視点の切り口に不安がある場合は外注も選択肢になります。企画から伴走できるか、記事化まで見据えて設計できるかを基準に判断することが重要です。

うまい企業に共通するのは、リリース単体で完結させない設計といえます。調査結果を自社メディアの記事にまとめ、資料としても提供する流れが整っているのです。さらに、SNSでの発信やセミナーへの展開まで見据えています。1つの調査を複数の接点で活用する姿勢が、成果の差につながるのです。プレスリリース単体で終わらせない発想が求められます。

PR TIMESは使うべき?

調査リリースを届ける手段として、プレスリリース配信サービスの利用は有力な選択肢になります。PR TIMESは、国内で広く使われている配信サービスの1つです。利用企業は12万社を超え、個人ユーザーも約22.6万人に達しているため拡散の土台はあります。

配信したリリースは提携先のニュースサイトへ転載される場合があり、自社サイトだけで公開するより閲覧の機会は広がります。検索結果に情報が残りやすい点も、二次的なメリットといえるでしょう。

一方で、配信すれば必ず記事化されるわけではありません。媒体側が扱うかどうかは、テーマの新規性や社会性、データの見せ方によって決まります。配信サービスは届ける手段であり、企画の弱さを補うものではないという理解が必要です。調査PRは配信面より企画面の影響が大きいため、配信だけに頼らず個別メディア提案まで含めて考えることが大切です。

調査リリースでおすすめの会社は?

調査リリースを外注するなら、「調査設計からリリース作成・配信まで一貫して対応できる会社」がおすすめです。調査PRは設計と見せ方が成果を左右するため、配信だけの会社では効果が出にくい傾向です。

具体的には、調査設問の設計、データ分析、記事構成、メディア視点での切り口設計まで対応できる会社が適しています。さらに、メディアへの提案や掲載実績がある会社であれば、記事化まで見据えた施策として機能します。

相談の際は、過去の支援事例と成果の測り方が確認のポイントになります。調査PRの支援を専門とする会社であれば、企画から成果までを一貫して設計できます。

最後に

調査PRは、単にデータを発信する施策ではなく、設計次第で認知・信頼・流入までを一体で生み出せる手法です。重要なのは、調査内容ではなく「どう設計すれば取り上げられるか」という視点です。

成果につながる調査PRには、共通する構造があります。読み手の課題から企画を起こし、時事性やイベントと掛け合わせ、一目で伝わる形に整える流れです。そのうえで、自社サービスへの導線まで一貫して設計する必要があります。

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