市場規模とは?調べ方や算出方法・具体例でわかりやすく解説

市場規模は、新規事業の検討やマーケティング戦略の立案において欠かせない基礎データです。市場の大きさを正しく把握することで、参入の可否や成長余地、優先すべきターゲットが明確になります。

しかし「どこから調べればいいのか分からない」「算出方法が複雑で手が止まる」と感じている担当者も少なくありません。この記事では、市場規模の基本から調べ方、算出方法、具体例まで実務で使える形で解説します。

市場規模とは市場全体の売上や取引量のこと

市場規模とは、特定の業界や分野において一定期間に取引された総売上や販売数量のことです。市場の大きさを数値で捉える指標であり、事業の可能性や需要の大きさを判断する基準となります。ここでは、市場規模の基本的な考え方や関連する指標との違いについて解説します。

市場規模と売上・シェアとの違い

市場規模は「業界全体の売上」を指し、自社売上や市場シェアとは捉え方が異なります。自社売上は市場の一部に過ぎず、単体では市場の大きさを判断できません。市場シェアは市場規模のうち自社が占める割合を示す指標です。

たとえば市場規模1,000億円の中で売上100億円あればシェアは10%となります。この3つを混同すると、実際よりも市場を大きく、あるいは小さく誤認するリスクがあるため、注意が必要です。

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市場規模の単位と基本指標

市場規模は主に「金額」と「数量」で表されます。金額は売上ベースで、ビジネス判断に最も使われる指標です。一方で数量は販売数や利用件数で示され、需要の実態を把握する際に有効です。たとえば同じ1,000億円の市場でも、高単価少量なのか低単価大量なのかで戦略は変わります。

また年次推移や成長率も重要で、単年の規模だけで判断すると誤る可能性があります。必ず「規模×成長性」で見る視点が重要です。

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TAM・SAM・SOMの違いと使い分け

TAM・SAM・SOMは市場規模を段階的に整理するためのフレームワークです。それぞれの意味と関係性は以下の通りです。

・TAM(Total Addressable Market):理論上獲得できる最大の市場規模

・SAM(Serviceable Available Market):自社が提供可能な範囲に絞った市場規模

・SOM(Serviceable Obtainable Market):実際に獲得が見込める現実的な市場規模

TAMは市場全体のポテンシャルを把握するための指標ですが、そのまま事業計画に使うと過大な見積もりになりやすいため注意しましょう。SAMでは提供エリアやターゲットを踏まえて現実的な範囲に絞り込みます。

さらにSOMでは競合状況や自社の営業力を考慮し、短期的に獲得できる売上規模を設計します。この3段階で整理することで、実行可能な戦略に落とし込みやすくなります。

市場規模を把握する目的

市場規模は単なる数値ではなく、事業の方向性や判断の土台となる重要な指標です。数値の見方を誤ると、参入判断や投資判断を誤るリスクも高まります。ここでは、市場規模を把握することで何を判断できるのか、実務でどのように使われるのかを解説します。

新規事業に参入するかどうかの判断

市場規模は「その市場でどれくらい売上が見込めるか」を判断する基準になります。たとえば市場が小さい場合、どれだけシェアを取れたとしても売上は伸びにくいです。一方で市場が大きくても競争が激しい場合は利益が出ない可能性もあります。

単に市場が大きいか小さいかではなく「自社が勝てる余地があるか」を見極める材料として活用します。参入前にこの判断を誤ると、初期投資の回収が難しくなります。

売上計画や成長戦略の設計

市場規模が分かると、売上目標の上限や現実的な成長ラインを設定できます。たとえば市場全体が年5%成長している場合、自社が20%成長しているならシェア拡大ができていると判断できます。逆に市場が伸びているのに自社が全く伸びていない場合は、製品の内容や売り方に問題がある可能性が高いです。

このように市場全体と自社の動きを比較することで、感覚ではなくデータを基に戦略を設計できます。

どの市場を狙うかの見極め

市場規模を比較することで、優先的に取り組むべき領域を判断できます。たとえば複数の市場候補がある場合、規模だけでなく成長率や競争環境も合わせて検討する必要があります。大きくても成熟している市場と、小さくても成長している市場において同じ戦略では通用しません。

限られたリソースをどこに投下するかを決める際に、市場規模は重要な判断材料になります。

競合との立ち位置の把握

市場規模と自社売上を組み合わせることで、自社のシェアや立ち位置を明確にできます。たとえば市場規模1,000億円の中で100億円の売上があればシェアは10%です。この数値を基に、競合と比較して強みや弱みを分析できます。競合と比べてシェア率が多ければ、現在の戦略が市場に適合していると判断できます。

反対に低ければ、戦略の見直しが必要と判断できます。またこのデータに別の調査結果を組み合わせることで、より詳細な分析が可能です。

市場規模の調べ方

市場規模は目的に応じて情報源を使い分けなければ、実態とかけ離れた数値になる可能性があります。ここでは、代表的な市場規模の調べ方と使い分けの判断基準を解説します。

官公庁データで全体の数値を把握する

官公庁の統計データを活用することで、市場全体の規模を把握できます。総務省が運営する「e-Stat」では、さまざまな調査データが公開されており、業界ごとの売上や出荷額、事業所数などを確認できます。

気になる業界をキーワードで検索すると関連するデータが一覧で表示されるため、その中から参考になりそうなものを確認する流れです。信頼性が高く無料で利用できることが特徴ですが、更新頻度が決まっているため、常に最新の動向を把握するのは難しいと言えます。

市場の大枠を把握するような場合に最適です。

業界団体や白書で業界の実態をつかむ

業界団体のレポートや白書を使えば、より実態に近い数値を知ることができます。調べ方としては「業界名+協会」「業界名+白書」で検索し、最新のレポートがあるかを確認する流れです。官公庁よりも更新頻度が高く、業界特有の指標や内訳まで記載されていることが特徴です。

ただし、対象範囲が独自のもので、すべての協会で共通した調査が行われていないため、定義を確認する必要があります。特定業界を深堀りする段階で有効です。

調査会社のデータで詳細な数値を確認する

より精度の高い数値が必要な場合は、調査会社のレポートを活用します。たとえば、各業界に特化した会社で気になる分野のレポートを検索し、必要に応じて購入する流れです。調査を依頼することも可能です。

競合シェアや将来予測など、他では得られない情報が含まれる点が強みです。一方で費用がかかるため、事業判断や投資判断など精度が求められる場面で利用するのが現実的です。

自社で情報を集めて市場規模を推計する

公開データだけで情報が足りない場合は、自社で数値を組み立てて推測する方法もあります。たとえば「顧客数×単価×利用頻度」や「企業数×平均売上」などの式に分解し、各要素を調査して当てはめる方法です。

アンケート調査や既存データを組み合わせることで精度を高められます。ただし前提条件によって数値が大きく変わるため、仮定を明確にする必要があります。ニッチ市場や新規サービスの検討時に有効です。

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市場規模の算出方法

調べたデータは計算式に当てはめて数値化していきます。前提や使うデータによって結果が変わるため、目的に合った算出方法を選ぶことが重要です。ここでは、実務で使われる代表的な算出方法と具体的な手順を解説します。

公開データをもとに全体規模を逆算

公開されている売上やシェアの情報から市場規模を逆算できます。基本の計算式は「市場規模=企業の売上÷市場シェア」です。

ある企業の売上が200億円でシェアが20%である場合
200億円÷0.2=1,000億円→市場規模は1,000億円と算出できる。

実務では、上場企業の決算資料や業界レポートから売上とシェアを取得し、その数値を当てはめて計算します。このとき重要なのは、シェアの対象範囲を確認することです。国内市場なのか、特定カテゴリなのかが異なると結果も変わります。

売上や件数を積み上げて算出する

複数の要素を積み上げて市場規模を算出する方法もあります。基本は「単価×件数」で分解し、それぞれの数値を掛け合わせます。たとえばEC市場であれば「平均注文単価×年間注文数」で算出できる仕組みです。

実務では、店舗数・客数・回転率などに分解し、それぞれのデータを集めて合計します。公開データが一部しかない場合でも、要素ごとに補完できるため応用しやすい方法です。ただし、分解の粒度が粗いと精度が下がるため、できるだけ具体的に分けるのが理想です。

者数と利用頻度から導き出す

顧客ベースで市場規模を算出する方法もあります。計算式は「利用者数×単価×利用頻度」です。たとえば利用者数が1,000万人、単価5,000円、年2回利用であれば、市場規模は「1,000万人×5,000円×2」で1,000億円と算出できます。

実務においては、人口統計やアンケート調査から利用者数を推定し、平均単価と利用回数を掛け合わせる内容です。新規サービスや消費者向けビジネスで使いやすい方法ですが、前提の置き方によって数値が大きく変わるため注意が必要です。

企業数と単価から規模を見積もる

企業数と平均売上から市場規模を算出する方法です。計算式は「企業数 × 1社あたりの平均売上」です。たとえば、対象業界に1,000社あり、平均売上が5,000万円の場合、市場規模は500億円と算出できます。

実務では、法人データや業界団体の情報から企業数を把握し、決算情報や推計値から平均売上を設定します。BtoB市場や業界構造が分かりやすい分野で有効な方法です。ただし、大企業と中小企業で売上差が大きい場合は平均値の設定に注意が必要です。

仮の数値を置いてざっくり推定

公開データが少ない場合は、仮の数値を置いて市場規模を推定することも可能です。これは限られた情報をもとに、対象を分解しながら概算を出す考え方で「フェルミ推定」と呼ばれます。たとえば「対象人数×利用率×平均単価」のように要素を分け、それぞれの妥当な数値を当てはめて計算します。

妥当な数値を設定する際は、完全な推測ではなく、根拠のあるデータを組み合わせるのがポイントです。たとえば対象人数は人口統計や年代別データ、利用率は類似サービスの普及率やアンケート結果を参考にします。

このように公開データや近い事例をベースに仮定を置くことで、現実に近い数値を組み立てられます。

市場規模の算出事例

市場規模についてある程度理解できたものの、実務の流れまで具体的にイメージできないという方もいるのではないでしょうか。ここでは、よくあるケースを基に、市場規模をどのような流れで算出するのかを解説します。

カフェ市場の来店者数と客単価から算出する場合

カフェ市場は「来店者数×利用頻度×客単価」で算出します。まずは対象エリアを決め、人口データを取得します。ただ人口を調べるのではなく、通勤者や主婦、学生などの最もカフェを利用する層を抜き出すのがポイントです。

次に「月に1回以上利用する人がどれくらいいるのか」を調査データや一般的な利用傾向から設定します。最後は平均単価を当てはめます。たとえば対象人口が40万人で年に36回(月3回)利用、単価が700円だった場合の市場規模は115億2,000万円となります。

SaaS市場の企業数と月額単価から算出する場合

SaaSは「対象企業数 × 導入率 × 月額単価 × 12ヶ月」で算出します。まず「どの企業を対象にするか」を決めます。たとえば従業員10人以上に絞ると、対象企業数を統計データから取得可能です。

50万社だった場合、次に「どれくらいの企業が導入しているか」を設定します。

これは類似サービスの普及率や業界記事を参考にし、20%と設定した場合は10万社です。次に1社あたりの月額単価を設定します。料金ページや競合サービスを見て平均2万円とします。

この場合「10万社 × 2万円 × 12ヶ月」で240億円です。実務では企業規模ごとに単価を分けて再計算すると、より現実に近づきます。

市場規模を調査する際に注意したいポイント

市場規模は数値だけを見ると正しく見えても、前提やデータの質によって大きくズレる可能性がある指標です。そのまま判断してしまうと、参入判断や投資判断を誤るリスクがあります。ここでは、実務で特に注意すべきポイントと、その対処方法を解説します。

データの信頼性と更新時期を確認する

市場規模のデータは「誰が出しているのか」「いつのデータか」を確認する必要があります。たとえば、出典が不明な記事や数年前の統計をそのまま使うと、現在の市場とズレる可能性があります。特にITやSaaSなど変化が早い業界では、1年ほどで状況が大きく変わるケースもあるため注意が必要です。

官公庁や調査会社など信頼性の高い情報を優先し、可能であれば複数年のデータを確認しましょう。また、最新データがない場合は成長率を掛けて補正するなど、現在の数値に近づける工夫が必要です。

市場の定義や範囲を明確にする

同じ「市場規模」でも、定義や範囲によって数値は大きく変わります。たとえば「カフェ市場」といっても、チェーン店のみなのか個人店を含むのか、テイクアウトを含むのかで結果は変わります。定義が曖昧なまま計算すると、他のデータと比較できません。

実務では「対象地域」「対象顧客」「含める商品・サービス」を事前に決め、その条件に合うデータだけを使うことが重要です。計算に使った前提は、あとから見ても分かるように整理して残しておく必要があります。

複数データを比較して精度を高める

1つのデータだけで市場規模を判断するのは危険です。調査方法や対象範囲が異なるため、同じ市場でも数値に差が出ることがあります。実際に算出する際は、官公庁データ・業界団体・調査会社など複数の情報を並べて比較しましょう。

資料ごとで数値に大きな差がある場合は、対象範囲や算出方法が異なる可能性があります。条件や前提を確認し、自社の目的に合うものだけを選びましょう。

市場規模の調査は専門会社の活用も有効

市場規模は事業判断の基準になる重要な指標です。自社でも算出は可能ですが、データ収集や前提設計には一定の知識と工数が必要です。ノウハウやリソースが不足している場合は、専門会社の活用も検討しましょう。ここでは専門会社を活用するメリットや依頼の判断基準を解説します。

調査会社に依頼するメリット

調査会社に依頼する最大のメリットは、精度の高いデータと分析を短期間で得られることです。専門のリサーチャーが設計からデータ収集、分析まで行うため、前提のズレや計算ミスを防げます。また、一般的なデータだけでなく独自の貴重なデータにより、競合シェア、将来予測まで把握可能です。

調査だけでなくマーケティング施策の提案やその後の効果測定など、さらに範囲を広げてサポートを受けられるのも魅力です。ノウハウが不足している場合でも、自社スタッフも調査に加わることで、その進め方や考え方を習得できる点もメリットです。

自社対応と外注の判断基準

自社で対応すべきか外注すべきかは、目的と求める精度で判断します。たとえば、ざっくりとした市場感を把握する段階であれば、自社での簡易的な計算でも対応可能です。一方で、事業計画や投資判断に使うような場合は、数値の精度が重要になるため、外注が適しています。

また、ニッチ市場や新規分野のように公開データが少ない場合も、自社だけで算出するのは難易度が高くなります。重要な意思決定に関わる場面ほど、専門会社の活用を検討しましょう。

市場規模に関するよくある質問

市場規模の意味や調べ方、算出方法を理解しても、実際に調べる段階では細かな疑問が出やすいものです。ここでは2つのよくある質問に答えていきます。

市場規模ランキングはどこで確認できる?

市場規模のランキングを確認したい場合「業界地図」や「市場規模マップ」、調査会社の資料が参考になります。公的データは信頼性が高い一方で、ランキング形式ではまとまっていません。ランキングデータは参考になりますが、対象範囲や年度の違いには注意が必要です。

市場規模マップとは何?

市場規模マップとは、業界ごとの規模や成長率をまとめて比較できる資料です。業界の大きさや伸びている分野を一目で把握できるため、全体像をつかむ際に役立ちます。ただし簡略化された情報のため、そのまま使うのではなく、出典や算出根拠を確認することが重要です。

市場規模を正しく把握して事業判断に活かそう

市場規模は、事業の可能性や成長性を判断する基準となる重要な指標です。調べ方や算出方法を理解し、前提や定義を揃えたうえで数値を扱うことで、参入判断や戦略設計の精度は大きく変わります。単なる数値としてではなく、意思決定に使えるデータとして扱うことが重要です。市場規模の算出は自社でも可能ですが、精度を求めるほど難易度は上がります。

私たちPRIZMAでは、国内最大級のモニター基盤と5,000社以上の支援実績をもとに、市場規模の算出から活用までを一貫して支援しています。単に数値を出すだけでなく、調査設計の段階から前提を整理し、意思決定に使える精度まで落とし込みます。さらに、算出した市場データをもとにした戦略設計や調査リリースまで対応できる点も強みです。市場規模を正しく捉え、事業判断に活かしたい場合は一度ご相談ください。

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