
BtoB企業の認知拡大やリード獲得の手法として、調査リリースへの注目が高まっています。独自の調査データを発信することで、メディア掲載やSNSでの拡散につながるだけでなく、営業・マーケティング活動にも活用できます。
本記事では、調査リリースが注目される理由から制作の流れ、成功のポイント、事例や費用相場まで詳しく解説します。

日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)が隔年で実施するPR業実態調査からも、PR業界の動向は拡大傾向にあることがわかります。PR市場での売上規模は、2020年度の推計1,111億円から2022年度には1,479億円へと、前回比約133%の伸びが見られます。
また、プレスリリースや調査リリースの代表的な配信サービスであるPR TIMESの利用企業数は、2020年6月に4万社を突破した後も増加が続き、2026年2月には12万社を超えました。国内上場企業の利用率も6割を上回り、大企業から中小・スタートアップまで情報発信の裾野が広がっています。
BtoB企業にとって、調査リリースが有効なのには理由があります。広告手法の変化と、競争環境の構造的な変化の両面から見ていきましょう。
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インターネットの発達によりさまざまな広告に触れる機会が増え、多くの人が企業からの一方的な宣伝に対して以前より慎重になっています。露骨な売込みは読み飛ばされ、信頼も得にくいのが実情です。
その点、企業などが行った調査データであれば、押し付けがましさを感じさせずにアプローチできるのが大きな違いです。第三者からの調査データによって、自分の中で感じていた課題がより明確になり、改めて自分事化することで態度変容が起こります。結果として、自発的な資料ダウンロードや情報収集につながるでしょう。
製品やサービスのユニークセールスポイントが重要であることはいうまでもありません。しかし、SaaSをはじめ多くの製品・サービスが市場にあふれる今、機能面の差別化だけで選ばれるとは限らない状況といえます。
そこで鍵を握るのが第一想起です。「〇〇といえば、この会社」と、真っ先に思い浮かぶ存在になれるかどうかが売上を大きく左右します。そもそも想起されなければ、比較検討の土台に乗ることすらありません。調査リリースは、特定領域における自社のポジションを継続的に印象づける有効な手段です。
メディア掲載は、認知度向上につながる重要な要素です。自社製品の紹介のみを目的とした情報は宣伝色が強いと受け取られやすい一方で、調査リリースはメディアに採用されやすいという強みを持ちます。記者にとって、客観的な数字は記事の根拠として扱いやすいためです。
世の中の関心が高いテーマと自社事業を掛け合わせた独自データであれば、ニュース価値はさらに高まります。大手ビジネスメディアなどに掲載されれば、広告費換算で数百万円〜数千万円規模の露出が無料で狙える可能性も十分にあるでしょう。

調査リリースの価値は、配信して終わりではありません。一度調査したデータを二次活用することで、投資対効果(ROI)をさらに上げることが可能です。
調査データは、営業現場で説得力のある材料になります。例えば、「業界の◯割が△△に課題を感じているデータが出ているのですが、御社ではいかがですか?」という切り口として使えます。事実を提示することで、顧客の共感を引き出しやすくなるでしょう。
トークスクリプトに調査結果を組み込むことで、主観的な売込みではなく市場全体の実態を示せるため、提案の信頼性が高まります。顧客の「自分たちだけではない」という共感によって課題を顕在化させやすく、商談化率や成約率の向上につながります。
調査結果は、さまざまなチャネルへ展開できます。ホワイトペーパーやメルマガ、ナーチャリングメール、展示会やSNSでの発信など、活用先は多岐にわたります。さまざまなチャネルでの活用で問い合わせなどを生み出すことによって、ROIを最大化させやすいことが特徴です。
ホワイトペーパーのコンバージョンが頭打ちになっている企業にとって、独自データは新たなリード獲得の起点です。調査データを使って新たなホワイトペーパーを作成することで、新規リードだけでなく既存リードの再コンバージョンも獲得でき、インサイドセールスが架電するきっかけを創出することも可能でしょう。また、検索ボリュームが小さいニッチな商材でも、データを切り口にすれば接点を広げられます。
調査リリースの制作工程は、大きく4つのステップに分けられます。各工程のポイントを押さえることが成果に影響するため、詳しく解説します。
最初に決めるべきは、調査の目的とテーマです。リード獲得なのか、認知拡大なのかによって、設定すべきテーマも調査対象者も変わってきます。
BtoBでは、自社事業に近いテーマを選ぶのが基本。トレンドに乗ってSNSで拡散されても、事業から遠いテーマでは質の高いリードにつながりません。
設問設計では、回答者の負担を抑えるための以下のような工夫がポイントとなります。
目的を明確にして必要な設問だけに絞り込む
1つの設問では1つの論点に抑え、複数を混在させない
回答は答えやすい質問から順に並べる
特定の答えへ導く誘導尋問を避ける
選択肢は漏れなくダブりなく用意する
記述式の自由回答は最小限にとどめる
さらに、属性と回答を掛け合わせるクロス集計を見据えて組み立てれば、より良い調査リリースとなるでしょう。
調査結果の説得力は、アンケートの有効回答数(N数)に大きく左右されます。サンプルが少なければ、データに偏りが生じかねません。
メディアへの訴求力や信憑性を高めるのであれば、1,000件規模のサンプルを確保するのが望ましいです。十分なN数は、調査リリースの信頼性を支える土台となります。
設計が固まったらアンケート調査を行います。自社のハウスリストを使う方法や調査専門会社のモニターを活用する方法があり、目的や予算に応じて選択しましょう。
ニュートラルな対象者に広くリサーチしたい場合は、調査会社のモニターが適しています。
回収したデータを設問ごとに集計し、特徴の傾向を抽出します。属性によるクロス集計を用いれば、より踏み込んだ内容を引き出せます。
ここで見出した「課題に関する実態」が、リリースの核となる情報です。
集計結果をそのまま並べても、読まれるリリースにはなりません。調査背景、結果のサマリー、詳細データ、提言という流れで、読者が知りたい順に構成します。
特に、タイトルや前半に印象的な数字を盛り込むことが、記事を読むクリック率を高めるコツです。数字をうまく使って、パッと目に入ったときについ気になってしまうタイトルを作成しましょう。
文章だけでデータを伝えるには限界があります。グラフやインフォグラフィックを用いることで、調査結果の要点が視覚的・直感的に伝わりやすくなります。
多くの人の目に留まりやすくするには、比較する項目の色味を区別するなど、見やすさを意識することが大切です。SNSでの拡散やメディア転載を見据える場合、図版に自社名やロゴを入れておくと出典として広がりやすくなります。
完成した調査リリースをメディア媒体へ配信する際、内容と親和性の高い媒体を選定すると掲載率が高まります。配信サービスはそれぞれ強みが異なるため、目的に合わせた使い分けが肝心です。
代表的な4つのサービスの特徴を見ていきましょう。
・PR TIMES
国内最大手でシェア首位の配信サービスです。国内上場企業の6割超が利用し、提携メディアへの二次転載やSNSでの拡散に強みを持ちます。管理画面で既読率やクリック数を分析できる点も特徴で、幅広い認知拡大を狙うBtoB企業の定番です。
・@Press
記事化率の高さを掲げるサービスです。専任スタッフが原稿を精査し、内容に合った媒体だけに配信するため、広報担当者が少ない企業でも質の高い情報発信を実現できます。
・ValuePress
中小企業やスタートアップを中心に、国内最多級の利用実績を持つサービスです。定額制で継続配信しやすく、原稿作成や記者への個別コンタクトなど、サポートの手厚さが魅力です。
・共同通信PRワイヤー
共同通信グループが運営し、報道機関からの信頼が厚いサービスです。全国紙・地方紙への転載網や海外配信に強く、社会性の高いテーマや大手メディアでの掲載を重視する場合に適しています。
配信後は掲載状況や反響を計測し、次回の企画へ反映させる流れを整えておきましょう。

調査リリースで成果を出すには、押さえておきたいポイントがあります。一過性の施策で終わらせないために、重要となる考え方です。
調査リリースは、1回の配信で大きな成果が出るとは限りません。繰り返し発信し、認知を積み上げていく必要があります。
発信を継続すると、じわじわと無意識の間に社名や商品・サービス名が刷り込まれ、認知を増やす効果が期待できるのです。量よりも質を大切にし、3カ月おき程度で行うのが良いとされています。
陥りがちなのが、自社の宣伝に寄りすぎてしまうことです。コンテンツ(記事やニュース、動画など)が溢れかえっている現代において、当然すべての情報をキャッチすることは不可能で、ましてや読者が知りたい情報でなければそもそも触れてもらうことすら不可能でしょう。
主役はあくまで読者の課題や関心であり、その解決に役立つデータなどの情報を提供できてこそ、結果として自社への信頼や関心が生まれます。宣伝をしてはいけないというわけではないですが、「役に立つから読まれ、読まれるから広がる」という順序を忘れないことが肝心です。
実際に調査リリースで成果を上げたBtoB企業の事例を紹介します。いずれもPRIZMA(株式会社PRIZMA)による支援事例です。
AIの戦略設計から実装、人材育成までを支援するコーレ株式会社は、ブランディング強化を課題として調査リリースを導入しました。生成AIやシャドウAIの利用実態をテーマに独自データを発信した取り組みです。
その結果、約1年間で累計約1,000件の問い合わせを獲得。調査データは営業資料へ二次利用され、説得力のある営業トークの実現にもつながりました。短期間で自社のアセットを構築できた好例です。
▼事例の詳細はこちら
https://www.prizma-link.com/press/case/survey-core
業務管理システム「BizLib」を運営する株式会社SMBは、2023年6月から調査リリースを活用しています。市場動向を継続的に把握し、その結果を開発にも生かす狙いがありました。
顧客の課題に寄り添った記事配信を重ねた結果、合計100件のメディア掲載・転載を達成。 「認知拡大」と「市場調査」を両立させる手段として機能しています。
▼事例の詳細はこちら
https://www.prizma-link.com/press/case/SMB
SaaS営業特化型の転職エージェント「マーキャリNEXT CAREER」を運営する株式会社エムエム総研は、2021年に立ち上げた新規事業のブランド資産化を目的に、2023年2月から調査リリースを活用しました。
独自データを起点とした発信はメディアへの掲載にとどまらず、SNS上でも広く拡散され、新規事業の認知拡大に貢献しています。検索ボリュームが小さい立ち上げ期の事業にとって、データ発信が有効となった事例です。
▼事例の詳細はこちら
https://www.prizma-link.com/press/case/mmsouken

調査リリースの費用は、調査の規模や依頼範囲によって異なります。おおよその相場感を把握しておくと、予算検討がスムーズでしょう。
コンテンツマーケティングとして継続的に展開する場合は、1本あたり50〜100万円程度が目安となります。設問内容や規模(N数)などによって増減するため、まずは標準的な仕様で見積もりを取得しておくと判断しやすくなります。
費用相場は一見すると高く思われるかもしれません。しかし、制作工数や専門性などを加味すると、内製した場合の人件費とそれほど違いはないでしょう。
調査リリースの検討時に寄せられる疑問を、Q&A形式でまとめました。
テーマや規模、依頼先によって異なりますが、内製する場合には企画から配信までスムーズに進んで2~3カ月程度を見込んでおく必要があります。制作会社に依頼すると、内容にもよりますが、1カ月~1カ月半程度が一般的です。
内製だと、制作に携わる人の本来の業務に支障をきたすケースもあります。社内リソースや運用体制を考えると、制作会社に依頼するのがおすすめです。
両者は目的が異なるため、一概に優劣はつけられません。新商品の発表など、伝えるべき事実が明確にある場合は通常のプレスリリースが適しています。
一方、発信するネタが定期的にない、客観性を持って認知を広げたいという場合は、調査リリースが向いています。自社で継続的に情報発信の題材を生み出せる点が、調査リリースの強みです。
成果指標は目的に応じて設定します。認知拡大が目的なら、メディア掲載数やSNSでの拡散状況、指名検索数の推移が指標になります。
リード獲得が目的であれば、ホワイトペーパーのダウンロード数や問い合わせ件数、そこからの商談化率などを追いましょう。配信後にレポートで効果を振り返り、次の企画へ生かす運用を徹底することが重要です。
調査リリースは、BtoB企業が抱える「リードの頭打ち」「市場が小さくSEOや広告で伸ばしにくい」といった課題への有効な打ち手です。独自データという資産は、メディア掲載や認知拡大にとどまらず、営業やマーケティングの現場でも繰り返し活用できます。
大切なのは、読者にとって興味深い価値あるテーマを選び、単発で終わらせず継続して発信すること。自社で取り組むのが難しい場合は、企画から配信まで一貫して支援する専門パートナーへの依頼も選択肢です。まずは自社事業に関連するテーマを整理し、調査リリースの活用可能性を検討してみてください。
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